最高だったものは最高ではなかったのか
BUMP OF CHICKENというバンドのアルバムに『THE LIVING DEAD』というアルバムがあります。
コンセプトアルバムで、全ての楽曲の歌詞が物語調になってるのが特徴なんですが、僕がこのアルバムを知ったのはもう10年以上前のことです。
聴いてない時期はない、と言っても過言ではないほど僕の人生にとってあって当たり前の存在ではありましたが、なんだか最近やたらといいなと思います。
というのも、知って衝撃を受けたあの頃よりも、ヒゲの生えた顔になった今の方が良さがわかる。
こんなに良かったのかって。
おかしいなーと思います。
だって当時ですでに「最高だな」と思ってたはずですから、それ以上はなかったはずなのです。
なのに、今の方が「良い」と感じている。
つまりは当時は最高ではなかったのか。
そんなことはない。
人にはその人なりの世界観だとか価値観というものがありますから、当時の僕に理解出来る範囲では確かに最高を感じていたのでしょう。
だけれども、色々な経験や様々な考えが僕の世界観・価値観を広げて、物事の良し悪しの深みを感じられるようになった。
その広がった先で伸び悩んだものも中にはあるのだろうけれど、『THE LIVING DEAD』は僕の広がりに合わせて魅力を発揮したのです。
きっと今までは僕の器の中で溢れんばかりの魅力がミチミチに満ちていた。
特筆すべきは、このアルバムはBUMP OF CHICKENのギターボーカル藤原基夫さんが全曲作詞作曲しているのですが、当時二十歳そこらです。
そんな若者が大人の僕にこんなに響く曲を書けるなんて(しかも時間差で)、純粋に凄いなって思います。
歳なんて関係ないよ、なんて言う人もいると思いますが、でもやっぱり人生経験は深みを作ると思います。
だから、若い内からそういうものを作れる人って凄いなって、やっぱり僕は思います。
おしまい