「物足りない」「満たされない」という現代人に
現代人は「ヒマ」がないと思います。
それはインターネットが登場したことにより、世界中と繋がり、世界中のコンテンツに触れられるようになった。
というのは前提として、iPhoneをはじめとしたスマホを持つことにより、それが「常に繋がっている」という状態になったからです。
コンテンツを自分から欲していなくとも、少しのヒマを感じようものなら、SNSの類をなんとなく開く人は多いでしょうし、開いた数分後にはまた思わず開くなんて人もいると思います(何があるわけでもないのに)。
アプリゲームの類も、楽しいわけじゃないんだけどなんだかやめられない、という人は多いのではないでしょうか。
仕事面でも、処理する情報量が増えたりもします。
人間があくせく働いて処理していた仕事がどんどん機械化されて人間の余力ができたわけですから、その分より多くの仕事ができるようになったぞ!と言えば聞こえはいいけれど、本来人間が3人も4人も必要だった仕事量(情報量)を1人で管理、つまり抱え込むことにもなるので、実際は苦労が多かったりもします。
あれもしなくちゃ、これもしなくちゃって。
加えて求められるものも多い。
あれもできなくちゃ、これもできなくちゃって。
だもんで、みんなでのんびりしてたはずが、みんながせわしない、というのが僕の現代の印象です。
便利だけれど、余裕がなく、心は不便。
かく言う僕も、SNSはなんかやっぱり見ちゃうし、YouTubeとかもだらだら延々見てしまう傾向にありました。
それによって得られたものも確かにあるけれど、果たして掛けた時間に対してそれがそれほどに重要なものであったかというと、大変疑わしく思います。
……………
今僕達に必要なものは「ヒマ」なのではなかろうか、なんて思うのです。
誰が何をしてたっていいじゃないか、自分が何をしてたっていいじゃないか。
たまには情報を得ることも、そして発信することも忘れて、なんならスマホを家にでも置いちゃってね、海にでも山にでも川にでも、街中にだっていい、そういう場所に手ぶらで赴いて、ベンチにでも座ってボーっとしてみたらいいと思います。
「なんだ、意外と時間って長いんだな」
って思い出すと思います。
文字通り一息つけると思います。
そういう時間をたまに作ってみたらいいと思います。
……………
しかしながら、もしかしたら現代人は、ヒマがないのではなく、ヒマを潰してしまってるだけなのかもしれません。
一見せわしなくてヒマがないようだけれど、それはヒマ潰しに忙しいだけなのかもしれない。
けれども、文字通りそれは「潰してる」だけだと思うのです。
本当はヒマって「使うもの」だと思うのです。
ヒマ潰しの特徴は、後に何も残らないものです。
後に何も残らないので、充実感がない。
ヒマを潰したはずなのに充実感がないから、何かが物足りない。
物足りないから、ああヒマだな、と言ってまたヒマを潰す。
そんな悪循環に陥ってる人も中にはいると思います。
ヒマを使うとは、自分のやりたいことをやるということなので、後に何かしら残ります。
後に何かが残るので、充実感もちゃんとある。
ヒマを使って充実感を得れば、何かが物足りないなんてこともない。
昨日は充実したから今日も充実したものにしよう、と言ってまたヒマを使う。
そんな好循環を生めたらいいんだと思います。
ともすると、ヒマではないはずなのに精神的にヒマ、というのが現代人の特徴かもしれません。
ヒマではないのに「物足りない」「満たされない」というような感覚がある人は注意が必要でしょうね。
そういう人は、一回リセットして、ボーっとしてみたらいいと思います。
その上で「あ、あれやろう」と思い立ったことが、ヒマの使いどころかもしれません。
なお便宜上「ヒマ」で通しましたが、使うのはもちろん「時間」です。
時間をどう使うか。
そんな月並みな話でした。
おしまい