『アラジン』のアラジンは本当に王子になれていたのか?
小学生の時によく観ていた映画、で思い出したのですが、『アラジン』という映画をご存知でしょうか。
結構有名なのでもしかしたら中には知っている人もいるかもしれませんね(すっとぼけ)。
ジーニーっていうキャラクターが有名で、3つの願いを何でも叶えてくれるんだ。
でも注意事項が同時に3つある。
まず1つ、恋愛関係の願いは無理。
人の心はその人のものだ、的な。
次に2つ目、人殺しもできない。
うぇーこれだめー。
その3!
死んだ人間を生き返らせることはできない……きもちわるいもんね……やりたかないでしょ!
それ以外ならなんなりと。
ってなもんで。
あと願い事を増やすこともできないですね。
でもそれ以外ならなんでも願いを叶えてくれるんだって。
だから恋するアラジン君は言いました。
「王子にできるかい!?」
全ては王女であるジャスミンちゃんに近付く為であるが、確かにジーニーはアラジン君を王子にしてくれるのでした。
僕はそのことになんの疑いもございませんでした。
ジーニーは確かに役目を果たしたものとして、アラジンは確かに王子になったんだ。
だから、終盤のあのシーンが子供ながらに僕はどうしても納得いかなかった。
……………
それはジャファーがジーニーの願い事によって、世界で一番力のある魔法使いになったあとのシーンです。
ジャファーは魔法でアラジンをとっ捕まえると、彼の正体を暴くのでした。
「上手く騙したな」
「化けの皮はがしてやる」
「これがお前のアリ王子だ!」
「こいつはドブネズミのアラジンだ!」(イアーゴ)
正体をバラされたアラジンは急いでジャスミンに言い訳をします。
「ジャスミン……言おうと思ったんだ」
いや。
いやいや。
謝る必要なんて何一つとしてないんだよ(謝ってはないけど)。
後ろめたいことなんてないんだよ。
謝るとしたらせいぜい市場で会った時の立場を偽ったことくらいでしょうか。
だって、アラジンはちゃんと「何でも願いを叶えてくれる」ジーニーにお願い事をして、ちゃんと「王子になった」んだから。
そこに嘘偽りはない。
その前がどれだけのドブに浸ったネズミだったとしても、仮に泥棒三昧の生活だったとしても、ジーニーが確かに王子にしてくれた以上は、もうアラジンは立派な王子なんだ。
願い事は願いとして叶ったんだから、王子は王子らしく王子やっとけって思うわけです。
……………
しかしながら、なるほど、世界で一番力のある魔法使いになったジャファーの世界で一番力のある魔法によって、ジーニーの願い事が解除されたとしてみよう。
つまりあのシーンで、アラジンは「王子にしてくれるかい!?」という願い事がなかったこととなり、本当にドブネズミに戻ってしまったんだとしてみよう。
でもそんなのは関係ないよね。
確かにもうジャスミンとお近付きになることはできなくなったのかもしれないけれど(あの段階では)、でも嘘つきではない。
願いは叶えられたんだから。
ちゃんとした王子として彼は王女に近付いたんだ。
そこに嘘偽りはない。
騙してない。
化けの皮も被ってない。
もしそれが成り立たないのだとしたら、じゃあ何か、ジーニーはただアラジンを王子のコスプレさせただけなんか?という話になってしまいます。
そんなのはエセ魔人です。
万能の魔人ジーニーとか言って、ただ派手にコスプレさせてくれるだけとは、宇宙一が聞いて飽きれるわ。
ジーニーに落ち度があるとしたら、それはちゃんと国を用意してくれなかったことでしょうか。
一体どこの国の王子なんだっつー話で、ジャファーにも問い詰められたことは誰しもが記憶に新しいことと思います(実写ではジャスミンに問い詰められました)。
ジーニーほどの魔人だったら国の一つでも作ってほしかったところですが、そこだけはちょっと詰めが甘かったですね。
……………
ともすると、王子ってなんだっけ?という気もしてきます。
一体全体何がどれだけあればそれは王子として認められるものなのでしょうか。
そう考えると「願い事を叶える」って実は結構難しいことなのかもしれない。
じゃあ「宇宙飛行士にしてくれ!」って言ったら、彼はどんな状態を提供してくれるのかしら。
およそ抽象的な願いはどんな風にされるかわかったもんじゃないんだから、できるだけ詳細に願いは伝えた方がいいかもしれないですね。
紙に書いた長い願いだってたちまち叶うんだから、アラジンは「どこそこの王子になりたい」とか具体的に言った方が良かったのかもしれない。
つーかジーニーももっと歩み寄ってくれても良かったのかもしれない。
「王子?王子ってどんな王子?アラブの王子?」
仮にアラジンが「アグラバーの王子にして!」って言ったらどうなってたのかな。
ジャスミンと兄弟になってたのかな。
物語の幅が広がりそう。
でも広がり過ぎて収拾つかなくなりそう。
ディズニーのアニメ映画としては、きっとあれくらいのノリが丁度良いのでしょうね。
多分。
おしまい