暗闇に光照らされる時
「江戸に少し憧れる」
という話を前回したわけですが、「やっぱりちょっと怖いな」と思いました。
……………
先日、地元の友達と遊んできたのです。
大人になって遊ぶとなったら世の中の人々はどうするのでしょうか。
僕達はわりと、自然を求めて車を転がします。
例えば山に行ったり、川に行ったり、海に行ったり。
ちなみに今回は山を上りました。
と言っても、登山とかっていうわけではなくて、車で行けるところまで上って、上った先で自然に触れるという具合です(だから「上る」)。
そう、前回は「自然的な物を大事にしたい」という発想から「ちょっと江戸に憧れる」という話だったと思うのですが、今回、図らずとも残された大自然に触れてきたわけです。
そしてしみじみ「やっぱり自然っていいよな」と思うと同時に、「怖い」と思ったのでした。
……………
どんなところに怖さを感じたかというと、「暗闇」です。
僕達は朝に集まって夜まで遊びに遊んだわけですが、夜ともなると、外灯のない自然界は大変な暗闇の世界になります。
当然江戸時代には外灯がない。
いや、提灯(ちょうちん)とか松明はあったと思うけど、電球はないんだから、基本的に夜は暗いんだと思います。
そんな暗闇世界を、前回の話を自ら踏まえて体験してみると、ああやっぱり怖いな、と思ったのでした。
……………
先が見えない。
から、何が現れるかもわからない。
山賊などの犯罪者が急に現れたり、猛獣が急に襲いかかってくるかもしれない。
江戸のように人が集まっている場所ならまだしも、山奥の集落とかに住んでいたら、それはそれはもうおっかなびっくりだったのではなかろうか、とビビリな僕は思うのです。
いつなんとき何が起こるわからない。
そんな暗闇の恐怖を、人は「お化け」という存在に見立てて表現した、という話を聞いたことがあります。
あるいは妖怪でしょうか。
その気持ちが今ならわかります。
灯りのない暗闇は本当に怖いなって。
ましてや狩猟採集民時代なら、本当に食うか食われるかの世界観だったんだろうなと思います。
……………
でも暗闇だからこその良いところもきっとあるんでしょうね。
例えば星が綺麗だとか。
ホタルが綺麗だとか。
花火が綺麗だとか。
満点に輝く星の下、浴衣なんか着ちゃったりして、ホタルの明かりに風情を感じながら、空高く打ちあがる花火に声を上げる。
「たまやー」「かぎやー」
江戸のお祭りって最高に楽しかったんだろうなって思います。
もちろん実際のところはわからないけれど、無知なりに想像してみるに、最高に楽しそうだなと思うのです。
……………
安心安全も大事だけれど、安心安全の為に失われたものもきっとあるのでしょうね。
そしてその安心安全を崩すことはまずないだろうから、その失われたものが取り戻されることもないのでしょう。
だから僕は江戸に思いを馳せることしかできないけれど、今は今なりに失われつつある何かがあるのかもしれない。
ともすると、いつの世も「今」が大事なのかもしれない。
過去を振り返り、「こんな時代も良かったもしれないな」って思うこともあっていいけれど、未来から見た「こんな時代も良かったもしれないな」は今かもしれない。
それを精一杯楽しむのもまた一興でしょう。
もちろん未来を想像することもまた楽しい。
過去を学び、今を見渡し、未来を見据える。
学ぶと人は、視野が広がる。
そしたらきっと、おおむね楽しい。
まだまだ僕は、いろいろ知りたい。
おしまい